阿頼度島 あらいどとう Alaid
千島列島北部(北千島)
アイヌ語表記: Oyakobakka・Chacha kotan
OpenStreetMap での現在名は Атласова。飛来する島の伝承は鳥居のクリール湖 Yāwen の語釈(p. 61)にも現れる。
位置
50.8630, 155.5693 · 座標:OpenStreetMap Nominatim, 2026-09-11。阿頼度島 の位置。 OpenStreetMap で開く
指示対象
- island 幌筵島北西の島。ロシア語 Атласова
語源分析
Chacha kotan
チャチャコタン ‘老いたる島’ 提案- chacha ‘老いた(鳥居)。鳥居の千島単語集は Chacha「高い山」、沙流方言 cáca は「おじいさん」’
- kotan ‘處・村’
提唱者: 鳥居龍藏 (Torii Ryūzō)
山の高さと姿から鳥居が導いた読み。
根拠
- 文献
鳥居自身の千島単語集は「高い山」に Chacha を挙げる。これなら名は「高山の島」と読め、山容にも「老いた」より直接に合う。
確信度: 低
鳥居の「老いた」は北海道の cáca「おじいさん」(田村1996)に拠るが、服部1964の比較で千島の「爺さん」は achabo であり、鳥居自身の千島単語集は Chacha「高い山」を挙げる。「老いた」は彼の資料が許す二つの読みのうち弱い方。
Oyakobakka
オヤコバッカ ‘(カムチャッカの人々に関わる名)’ 提案- oyakobakka ‘(鳥居:Oyutaru「カムチャッカの人々」と関係)’
提唱者: 鳥居龍藏 (Torii Ryūzō)
鳥居は千島アイヌのカムチャッカの人々の呼称 Oyutaru(p. 38 では Oyatāru)との関係を示唆するのみ。
確信度: 低
語頭の類似のみで、語の残りは未説明。
鳥居1903 p. 42
用例
- Alaid 口承 1903 鳥居龍藏『千島アイヌ』第二章「千島地名解」
アライドとは露人の下せし名稱にして、土人は Oyakobakka 若しくば Chacha kotan と云ふ、前者はカムチヤツカ土人を Oyutaru と云へば、これに關係ある名ならん、後者は阿賴度が海中に富士山形を呈し高く亢立するより、チヤチヤコタン即ち「老ひたる」島と稱するに至りしならん土人の傳ふる所によれば、太古この島は此處に無かりしものにして、元カムチヤツカより飛び來れり、最初アライドはカムチヤツカ半島にありて諸峰中に秀でたり、さればアライドは常に諸峯中妬みを受けたれば、後の恐れもありとて遂に此處に飛び來りしものなり、彼の飛び去りし跡は忽ち湖生じ、今日のクリール湖をなすに至れりと云ふ、この話は又ポロンスキー氏の千島志中にも記載せらる
鳥居はアライドを露人の名とし、千島アイヌは Oyakobakka または Chacha kotan と云うとする。前者をカムチャッカの人々の呼称 Oyutaru と関係づけ、後者を富士山形の高さから「老ひたる島」と解く。続けて島がカムチャッカから飛来し、跡にクリール湖が生じたという伝承を記し、ポロンスキーの千島志にも同じ話があるとする。
鳥居1903 p. 42
関連地名
- クリール湖 くりーるこ — 伝承で島の抜け跡とされるカムチャッカ南端の湖。 鳥居1903