勝納 かつない Katsunai
北海道後志地方小樽市勝納
アイヌ語表記: Katchinay・Katchunay
著者が小樽五大難解地名と呼ぶ蘭島・勝納・朝里・有幌・於古発の一つ。本州には山間の谷を表す河内・甲地などのカチ地名があり、東北のマタギ言葉のカッチは沢のどん詰まりを指すが、記事は北海道のカッチがアイヌ語の複合語の中に組み込まれている点でこれらと分ける。
位置
43.1576, 140.9794 · 座標:OpenStreetMap Nominatim, 2026-09-10。勝納川 の位置。 OpenStreetMap で開く
指示対象
- 川 勝納川。南小樽駅のそばを流れ、小樽中心部で最大の川
- 集落 小樽市勝納地区。小樽港に勝納埠頭がある
語源分析
katchi-un-nay
カッチウンナイ ‘カッチ(岩塔)のある沢’ 提案提唱者: zenibako_trek(小樽銭函地名歴史研究会) (zenibako_trek (Otaru Zenibako Place-Name and History Society))
岩は松倉岩。勝納川最上流部の山の上にある大岩で、その特徴的な形は小樽港からもよく見え、うさ耳とか猫耳とも呼ばれる。松倉鉱山が開かれた際もシンボルとして残された。著者の以前の読みは「鉄砲水のある川」で、流通している定説は「豊かな沢」説と「水源沢」説である。
根拠
- 形態パターン
音の連続はしばしば短縮されるので、katchi-un-nay は kachinay、katchinnay、katchunay などと発音できる。この形なら旧記類にあった「カッチナイ」「カチンナイ」「カツナイ」という音のブレを全てカバーできる。
- 同型地名
カッチという要素は、尖峰や山の上の岩塔がある土地に現れる。遠別川上流のペンケ・パンケカッチヌプリと周辺のカッチ地名、拳骨のような岩塔を持つ西興部の拳骨山、鹿追のピシカチナイ山、仁木然別のカッチ・カッチナイ。著者は位置名詞 ka「上方」を語源に関わる可能性として挙げ、chi「男根」も一応付け加える。また安政6年の箱館奉行の日誌に川白山と並んで見える小樽の勝浦山を katchi-or「カッチの所」とし、赤岩山の斜面に見える岩塔を指すとする。
記録された3つの表記すべてを説明でき、港からも見える岩を指す。要となる要素は辞書にない語で、松倉岩をそれと同定する根拠は著者自身の踏査であり、記録の裏付けはない。
用例
- カッチナイ / カツナイ 文献 Edo period
旧記では「カツナイ」ないし「カッチナイ」と見え、後者の方が古くから見られる。
zenibako_trek… - カチンナイ川 地図 19th century 伊能大図zenibako_trek…
関連地名
- 勝浦山 かつうらやま — 安政6年の箱館奉行の日誌に高島領の「川白山、勝浦山の金山」として見える山。位置ははっきりせず、著者は赤岩山周辺の山と見て katchi-or「カッチの所」を挙げる。忍路・余市方面から見ると山頂近くの赤い土禿げに岩塔が目立つ。 zenibako_trek…
- 十勝 とかち — 同じ著者が同じ要素で tu-katchi「2つの尖峰」と読む地名。 zenibako_trek…